F子さんが何かがなくなっていると、言い出すのは、アルツハイマーのF子さんになっているときです。
表情もはっきり違っています。
我が家のテレビも自分が買ったのよと言い出します。「何でもなくなっちゃうんだから、この家は。」
今日は日曜日でデイサービスはお休み。Mさんはデイサービスがお休みの日があるということと、デイサービスは2箇所に行っていることを判っているようですが、F子さんは判っているのか、そうでないのか私には良く分かりません。
とにかくデイサービスがお休みの日はたいへん。
今日は何時にお迎えがくるの。今日は来ないのよ。デイサービスはおやすみだから。
どうして。そんなはずない。毎日おむかえが来てるじゃない。 来てないでしょ。
じゃあ、あたしが一人で行ってくる。つきあたりのとこだから。
家の前で一人でデイサービスのバスを待っていて、バスが来たのに行ってしまったと
怒っています。
こんな調子を何度も何度も繰り返します。F子さんは新聞がないと今日が何日なのか、判りません。
もちろん、私達も今日は何日だっけと言うことはありますが、間違えても2週間も3週間も違っていたり、月を間違えたりはしないと思います。
二人に朝食用意。最近F子さんは煙草を止めた影響かお腹がすいて食事の時間が待ちどおしいようです。良い事です。今までしなかったおかわりも良くするようになりましたね。
Mさんはエプロンと両手、お口周りがべとべとです。きれいにして二人に食後のお薬。
Mさんには、歯磨き介助します。
Mさんは鍼灸師さんが来てくれる日です。こちらは楽しそうにおしゃべりしながら、鍼、お灸、マッサージを受けていました。
その後排便。有形便が沢山出ました。このごろ、ベットから車椅子に移乗するときだけでなく、ベットでズボンの着替えやおむつの処理のとき、とても重くて腕と手が痛いです。
その後又排便。今度はどうしたのか下痢便です。始末して、又車椅子に乗せて後ろから引っ張りあげて、室内履きをはかせて完了。
Mさんはその後ずーとテレビ鑑賞。テレビがつけっぱなしになっているのは大嫌いですが仕方ないです。テレビを見ながら居眠りしています。
F子さんは玄関に立って道行く人を眺めるのが好きです。
その後草取りをしてくれると、ビニール袋を持っていきました。しばらくしてもしかしてと気がつきました。
去年F子さんは少しだけ芽をだしたクロッカスを全部雑草と思い抜いてしまったのです。
やっぱり球根もろとも抜かれたクロッカスが袋に入っていました。かわいそうなクロッカス。
その後昼食。べとべとエプロンと両手とお口をきれいにしてお薬と歯磨き介助。
F子さんは食器洗いをしたくてたまらないのですが、私はどうしても嫌なのです。
私の台所に触られるのがとても嫌です。
F子さんは、洗面所でなく、台所を使うのが好きなのでよく注意していないと私には耐えられないことが起こります。
この前、流しに入れ歯をおいて、歯磨きをしようとしていたので、私は悲鳴を上げて洗面所に連れて行きました。洗面所で何を洗おうとかまいませんが、台所の流しは嫌です。
ずーとテレビ。お茶とお菓子もエプロンをつけないとだめです。
F子さんはMさんがとても沢山こぼしてしまうことに対してまたこぼした。又こぼしたと何度も言いますがMさんはどこ吹く風です。
ピンポーンとお歳暮の受け取りを何回か。
洗濯物を家の中に干して、落ち葉で散らかった道路をお掃除。家の中も掃除機をかけます。
そのあとどうしようもなく疲れたので二人に頼んで目覚ましをかけて30分寝ました。
電話がなったので2階で取ったけど、F子さんが先に取って私を呼んでる。
明日のデイサービスのお迎えの時間の連絡。留守電に入れてもらえばいいのに。
でも私が寝ている間二人は仲良しだったみたいで良かったです。
二人でニコニコ笑っている。
ワインを飲みながら夕食の用意。お歳暮にいただいた熱湯3分にゅーめんってどんなかなと
試食した。おいしかったし簡単で便利だったけどお腹がいっぱいになってしまいました。
でも、これを送ってくださったのはきっと私を少しでも楽にしてあげようと思ってくださったのだと思う。
ありがとうございます。今度何も作る気が起きないときいただきますね。
夕食のあとは又同じことの繰り返し。
妹から電話。うん、みんな元気よ。
あさってのショートステイのお迎えの連絡電話。
テレビを見ながらMさんがこっくりしているけど、まだ7時なのでもう少し起きていてもらう。
フィギアスケートを見だしたら今度は終わるまで見ているそうです。
F子さんはその間自室と1階を何度も何度も行ったり来たり。
カレンダーで今日が何日か、明日は何日か見ている。
テレビに映っている人についてでたらめなことを言っている。
やっとMさんを着替えさせてベットに移したら、パジャマ姿のF子さんが首にマフラーを巻き、私に真剣な顔でお話があるのよと言う。
「ここを出て行かなくちゃいけないのは判っているんだけど、もう少し待ってもらえないかしら。」
この質問何度も何度も繰り返されているので私はすぐに答えられます。
「F子さん、ずーとここにいてね。どこかにいかないでね。」
Mさんも、真剣な顔で、「どうして、でていきなはるの。ここにずーといたら、ええやないの。」
いつものことながら、F子さんは涙ぐみ、「ありがとうございます。お世話になります。」
これで一件落着です。
明日はデイサービス、明後日はショートステイです。ばんざーい。